制度外支援の威力と本丸

もうすぐ深夜という時刻に年輩の人が相談に来られました。

怪我をしてるんです。
激痛を伴う状況ですが、ご当人は痛いけど激痛では無いと仰せです。
私はこれは絶対に痛い筈と予測しました。

この人にはご家族が有りますが、遠方なので即時対応が効きません。
更にご当人は中度の認知症です。
それゆえ日常生活は一任頂いてます。

こういう事態は慣れているので、まずは救急相談センターに連絡して、病因を切り分けます。
既往歴、通院状況、接続中の社会資源、すべて把握しています。て云うか全て当方が段取りしました。
中身を知っているので、血栓や動脈瘤を疑ったのですが、相談センタの医療プロいわく「その心配は無い」との事で、ひと安心です。
そして救急対応の病院を教えて貰い、ご当人のご意向を伺いました。
そしたら「大丈夫や病院はイヤだ」と仰せです。

どんな場合でも、当事者の意向を無視する押し付け支援は許されない
そしたら明日の朝まで様子を見て一緒に病院行く?と伺いましたら、煮え切らない。

若くて体力のある人なら明日でも構わない、高齢者は同じように行かないのです。

押し付けはダメでも誘導は良いんです(笑)。
丁寧な説明(しても理解半分だが)を行い、「うん、わかった。○○ちゃんが言うなら病院に行く」と相成りました。
信頼です。信頼が無いと成立しない。

で、結果は大層な状態でした。とてもじゃないが明日に持ち越せる状況ではなかった。急患でスクランブルして本当に良かったです。

(1)
高齢者や認知症の人は痛みに鈍感になっています。
(2)
体力が落ちている高齢者にとって、保険証など医事課とのヤリトリ、Drへの説明、行く工程、帰る工程、すべてにおいて大変な作業です。

今回の場合も、放置すればヤバイ結果を産んだでしょう。

家族がある人は、家族が車を出し、家族が病院と折衝し、家族が事後処理します。

車なんか持ってない、家族が無い、この人達は動くに動けないのです。
これらの状況の究極は孤独死です。

以上の進捗内容は介護や障がい施策に有りません。
制度外領域です。

とある老健の機関紙に「介護屋だけでなく家族も含めたチーム介護が必要だ」とありました。
ね? 家族の居る事が前提になってるんです。

アホ抜かせ!

あなたの人権を侵害する全ての事態を、絶対に許さない。

児童擁護施設を出て孤軍奮闘してる人、家族から遠く離れて孤軍奮闘してる人、色々な事情で家族を失って孤軍奮闘してる人、家族みんなが力を失ってる人へ、連帯のメッセージ。