月別アーカイブ: 2021年1月

NHK歳末たすけあい助成による事業報告(地域密着型 ホームレス支援)

(弊者は「ホームレス支援」という上から目線の言葉に違和感を覚えておりますが、便宜上、この言葉を使います)

地域密着型ホームレス支援

NHK歳末たすけあい/赤い羽根共同募金 による助成金を活用し、2020年12月中旬より2021年1月4日において、地域密着型のホームレス支援を展開しました。

支援の成果(共助の成果)

 制度的(社会保険・社会扶助)な支援へ繋がりにくいホームレス状態の人に対して、地域の人達が「炊き出し」に代表される「福祉相談」等の支援(共助)を各地で展開していますが、その開催地は限られており、そこへ辿り付けず普段の生活圏に留まり、これらの支援を享受できない人が居ます。そのような方々へ支援を届ける事が出来ました。
 又、この支援を提供できた結果、これまで繋がりを持てなかった故に、ホームレス状態の構造(理由)、ホームレス状態者の心理状況、等などの理解発端を掴め、今後の支援の在り方を模索する為の材料を得ました。
 このような地域に根ざした事業を展開し、一定の実績をあげたことで、全国の支援者が、それぞれの地域の、それぞれのホームレス当事者のニーズに合わせた支援を展開する為の、「地域密着型ホームレス支援」の一例を示せたと考えます。

あなたの地域で

 「支援の想いはあるけれど、どうしたら良いか分からない」と思案されている各地の皆様へ、あなたの生きる街で、あなたの街に暮らすホームレスの方々の、個別ニーズに合わせた支援を行う為のご参考となれば幸いです。

支援内容

 衣・食・住と風呂のご提供をお二人分ご用意しました。大晦日の年越しの瞬間の暖かい居場所、風呂、食料、居場所滞在中および帰投される現地で使える布団、現地で使えるカセットコンロセット、タバコ、風よけのブルーシート、衣類。

新品の布団2セット
新品の布団2セット
コロナ対策で浴室や周辺の消毒を業者に依頼
コロナ対策で浴室や周辺の消毒を業者に依頼
こういうご時世です。弊会は会員さんと救急車に乗るのも日常です。対策は万全を期します。
弊会と繋がりのある保護猫ボランティアからの寄付で衣料を提供
弊会と繋がりのある地域猫ボランティア保護猫ボランティアからの寄付で衣料を提供
弊会は、弊会の会員さんの猫屋敷問題で、地域調整と屋敷解決を協働した頃より、付き合いのある地域猫ボランティア保護猫ボランティアから、普段より衣類の提供を受けています。又、この団体はその活動柄、ホームレスの人達を認識しており、今回、弊会が直接の支援に入るという事で、衣類その他(カセットコンロセット・ブルーシート等)のご協力を賜りました。


食料提供
食料提供
できるだけ暖かく新鮮な物をと考えていたのですが、予定していたホカベン屋さんが年内早期終了だったり、当日の早めに発注したけれどゴハンが無いと言われたりで、やむを得ずコンビニ弁当を用意しました。自炊機会や購入資金の問題で、なかなか食べる事が無いと予想された「カレー」を、せめてもの工夫として牛丼屋さんで購入。


カセットコンロセット
カセットコンロセット
自販機で暖かい飲物を買って現地に着くともう冷めてます。防災上の不安は残りますが、本当に冷たい風の中、どうにか暖かい物を届けたいと思い、現地で加温できる装置をご提供しました。


寒さから身を守るブルーシート
寒さから身を守るブルーシート
布団を何重にも重ねて対策されていましたが、本当に冷たい風が容赦なく吹き荒れます。布ですから、どうしても風を通します。ビニールシートのご提供により風を遮断でき、保温性が向上したようです。効果抜群だとご高評を賜りました。


衣類を現地まで運びます
衣類を現地まで運びます
新品布団を現地まで運びます
新品布団を現地まで運びます
弊会としては暫くの滞在をお願いしたのですが、おかえりになられるとの事でした。ダンボールにある布団を一旦は開封したものの再度封緘し、そのまま現地へお運びしました。

支援で留意すること

 ホームレス状態者の中には、市民からの暴力や、警察からの威圧などにより、他者に警戒心を抱いている人も居られます。又、過去に拘束的な福祉を利用して(させられて)、それによる嫌悪感を持つ人も居られます。
 まずは、支援するあなた自身に、当事者の望まない意向強要の恐れや、助けてやったる的オゴリが無いか、確認を繰り返す必要があるように存じます。
 1回目は拒否される可能性が高いと思います。普通(?)の人でも突然知らない人が現れて、何ごとか言い始めたら恐いです。何度か通って、その人の許可を得ねばなりません。その人の領域(人権)へ土足で踏み込まないよう常に留意する必要があると存じます。

拘束的な福祉

一例として、生活保護を適用されたは良いが、居場所を強制されたり(居宅可否の判断経緯の曖昧=生活保護法では絶対シェルター行きとはなっていません。それなのに例えば京都市山科区の保護課はそれを強要します)、半刑罰的な有形無形の劣等処遇を与えたり等が挙げられます。

今後の課題

 何度もお話を続けると、徐々に、ご当人の現在に至った経緯や、今後の希望等が理解できてきます。就職するにも医療・介護を利用するにも、まず居宅生活を確保するべきかも知れません。
 しかし当人が望まない事を強制できません。拘束的な福祉を経ている人であれば、それらの解除と今後の保障を提供できなければ、ホームレス状態の人達に納得を頂くのは難しいでしょう。
 ホームレス状態の人とじっくり話し、複合的な困難を溶き解いていく為に、今後も継続して支援したいのですが、弊会には資力がありません。これが弊会における今後の課題です。

NHK歳末たすけいへ募金支援くださった、あなた様へ

 炊き出しや福祉相談等の開催地へ辿り着けない、孤立状態の最前線に置かれる「ホームレス」状態の人達へ、地域密着型の支援を展開できました。これらは「公助」的ないわゆる公的準公的機関が機能していない領域であり、まさに「共助」の本領を発揮できる領域です。
 しかしながら「想いはあっても資金の不足等で支援活動できない」各地の人達も存在すると予想されます。
 NHK歳末たすけあい募金寄付者の皆様によって、ホームレス状態にある側の人達と、その人達を支援したいと考える側の両方へ、お力添えを頂いたと存じます。厚くお礼を申し上げます。

知っていますか?ホームレスの人権・一問一答
知っていますか?ホームレスの人権・一問一答

∗地域猫ボランティアとは保護猫ボランティアの事を指しており、別の存在です。訂正いたします。