障害者と人権と専門職!?

[ 設問 ]
精神障害者の地域移行支援(退院支援)について、「人権」「専門職」をキーワードにして、あなたなりに論じなさい。

福祉か!全滅か!
福祉か!全滅か!


[ 回答例 ]
 地域移行支援にあっては、当事者を単なる病者として見る医学モデルでなく、地域の不備による生活のしづらさを見る社会モデルの視点に立ち、当事者のリハビリだけでなく、当事者も地域も安心して暮らせるように、地域の啓発や資源との調整と資源開発にも努めねばならない。
 これらは、「たまたま」精神障害になった人も、極当然に人権を有しているという事に依拠した支援が必要だと考えるからだ。障害者権利条約 19 条には自立した生活及び地域社会への包容が謳われ、精神保健福祉法には障害者総合支援法と相まって精神障害者の社会復帰と自立と社会参画促進が謳われる。
 そして、そもそも人権は人間が生まれながらにして持っている基本的な権利であるのだから、障害者にもそれは当然該当する。従って、障害を理由にして、施設での暮らしで良しとしたり、地域での自立生活にあたって特別な努力を求めたりという差別は許されない。当事者の尊重をと言われるけれども、尊重するのではなく当然の人権を保証する責務を負うていると考えたい。
 専門職に求められる事は、この人権を常に意識し、当事者と地域の支援にあたらねばならない事だ。これは当事者の人権を優先し、地域に押し付ける事ではない。皆が等しく人権を享受できるよう調整(啓発・協力・調査)する事である。それに加え、教科書コラムにある通り、障害者の生活実態を踏まえ、既存の法を改善していく取組を思考する事も必要だと考える。

福祉有償運送における運営協議会の問題点と行政職員の弱点

-略-
2018年3月現在、全国で福祉有償運送を行っている団体は2400団体、公共交通空白地有償運送を行っている団体は116団体である(国交省調べ)。公共交通空白地有償運送の実施団体数が極めて少ないばかりか、かつて同様の福祉有償運送を全国で約3000団体が実施していた事からすると、ほとんど増えていないのが現状である。その最大の原因となっているのが、運営協議会の合意が登録要件になっている法制度の欠陥にある。

「運営協議会問題」
運営協議会は、単独もしくは複数の市町村長が主催し、①タクシー事業者②住民または旅客③運輸支局職員④タクシー労組⑤福祉有償運送実施のNPO等で構成。この運営協議会で「法定3事項(=①必要性②運送区域③対価の基準)」について、登録や更新時の合意を要するという仕組になっている。このことにより、「移動制約者の実態を踏まえ、タクシー、住民団体、NPO等、多用な主体が協力しあいながら、「地域の足」「移動の自由」をどう確保していくか」という運営協議会の本来的目的が抜け落ちているという現状である。
また、全国各地の運営協議会で、ローカルルール(上乗せ基準)が存在し、これを団体が遵守しなかれば合意しないといった他事考慮的判断が行われることによって、移動支援団体の活動が制約・限定化されている。例えば、セダン型車両の使用は認めない等の恣意的なローカルルールが、全国各地の運営協議会で設けられてきた。国交省は2009年、「運営協議会において定められた独自の基準に対する考え方について」等、2回に渡り通達を出しているが、いづれも現場には余り大きなインパクトを与えたとは言えず、僅かな改善のみで大勢には影響なかった。
総じて多くの自治体では事業者の主張に対しては弱腰で、自治体職員は一般に交通制度に詳しくなく、交通政策を推進する体制も出来上がっていず、福祉と公共交通の関係部局の連携も不充分である事から、複数の自治体でブロックでの運営協議会では、一掃無責任な対応となった。

KSKR(移動・送迎支援活動ニュース) 通巻8028号 「2019福祉有償運送学習会・道路運送法改正から13年、今後の課題を探る・九州大学大学院法学研究院教授」の文章を拝借引用(一部、弊ブログ筆者にて改訂してあり、KSKRおよび教授のご主張とは完全一致していない可能性を含みます)

当事者が自ら市民へ発信すること

[ 設問 ]
市区町村の現行の障害に関する計画の全文を読み、考えたことや疑問に思ったこと、今後に向けた提案などを記述しなさい。

PuppyLinux
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[ 回答例 ]
 内容を見れば整備の進捗状況等を紹介しているに留り、文章を見れば「必要です」「努めています」の乱発。
 現状を述べた後の対策が書かれていない、枚方市障害者計画(第3次改訂版)は、計画ではなく報告のように感じた。
 又、障害に拘らず、福祉全般に大切な要素と考えられる、人権についての認識が甘いようにも感じる。
 災害時要援護者支援事業の周知は述べられるものの、人権教育を受けていない者が多数と推測される、自治会への委託である実態は述べられない。これは、私が支援している独居高齢者へ、その案内が送付された折、市障害福祉室へ問合せて、明らかになった事である。形ばかりの本人同意を根拠に、充分な理解が得られていると考え難い一般の自治会へ、個人情報である病歴や障害有無は提供できない。命と個人情報の天秤と言われても、安易な納得へは至らない。
 啓発といった文言が多出する中で、「思いやりを大切に」という一節が述べられる事からも、人権意識を疑う。個人の気持ちの問題で、障害や人権の真の理解と完成は得られるものだろうか。
 偏見は長期熟成され、スティグマは相互作用し、差別の顕著性は法的・制度的なものだとされる。政策の実態をもとに障害者観が形成されるともある。ノーマライゼーションは観念ではなく、全人の義務であると考えたいものだ。
 政策や行政主導に頼るのでなく、当事者自らが、障害者課題を含む人権啓発を、市民に発信して行く事を提案したい。