非弁行為と地域福祉

[課題]
テキストをもとに、実践を行っていく際に「地域」を理解する上での重要な視点についてまとめなさい。さらに厚生労働省から 2015 年に出された「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現 ― 新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン ― 」についてあなたが印象に残った点とその理由をまとめなさい。

[例文]
 一つ目は、地域住民によって生活課題・問題を発見することによる、住民主体と住民の連帯が涵養されている地域であること。二つ目が、地域生活をしている家族をトータルに把握し、エコロジカルな視点から生活の場である地域をとらえていること。三つ目は、福祉サービスを必要としている人およびその家族が自己実現を目指して参加・活動することができる地域であること。四つ目は、フォーマル、インフォーマルの社会資源を開発する場としての地域であること。五つ目は、ソーシャルサポートネットワークが形成され、サービスが総合的に提供される地域であること。六つ目は、ソーシャルアドミニストレーションの機能や地域福祉計画の策定と実施が展開し、地域の生活課題・問題を解決できる地域であること。これらが、実践を行っていく際に「地域」を理解するうえでの重要な視点である。
 次に、「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現」(厚労省/平成29年)について印象に残ったニ点を述べる。
 一点は、「新しい包括的な相談支援システム(ページ6)」項目内にある、[社会資源の積極的な開発]についてであるが、例えば、社会福祉協議会や地域包括支援センター等は、地域にあるNPOや任意団体等をリストしているが、そのリストの根拠が曖昧である。私の所在する地域の事実として、リストされるのは彼らの枠内である。つまり社協は包括と商店会、包括は母体の例えば医療法人が提供する他のサービス、商店会は子ども食堂等のサービスであり、それらはいづれも制度内である。又、同地域の未登録資源が社会資源として参加を求めても排除される。これだと社協に社会資源の開発(育成)の視点はないと感じる。
 一点は、同項目の[③必要に応じて積極的に本人に同行….以降略(ページ7)]についてであるが、ここにある[本人に同行]できる資格は何だろうか、病院や福祉事務所その他へ同行するが、本人の委任状があっても対応を拒否される。最終的には移行型後見の委任部位の代理権目録を提示するが、対応可否は相手による。ましてや「うちの会員さんです」レベルでは到底及ばない。この同行・代弁に必要な資格とは何だろうか。詐欺や貧困ビジネス等の懸念もあるので、安易な代弁承認は困難な面もあろう。しかしながら、地域福祉推進における地域住民等による支え合いの一環として、同行・代弁は必要ではないだろうか。公的機関職員を訪問させる、例えば生活保護における職権保護の多くは、MSW等からの連絡が始まりになると思われる。緊急の支援を必要とする人は、病院には来ない(行けない)のである。これが、アウトリーチ発想の一側面としてあると考えられないだろうか。家族資源のない、かつ、体力のない人は、生活保護の申請すらままならない。民生委員を経由していてはワンストップから遠のく。同行・代弁を認める基準の定義が必要だと感じる。