ミクロ・メゾ・マクロの連続性

[課題]
ソーシャルワーク実践におけるミクロ・メゾ・マクロの視点の重要性と実践における連続性についてまとめなさい。

[例文]
人々の社会生活機能を高め、地域生活を可能たらしめることが、ソーシャルワーカーの役割であり、それに留まらず、人々の福利増進や QOL 向上を目標とすることがソーシャルワークの目標である。

それを成すためのソーシャルワークの機能として、ピンカス(Pncus,A.)とミナハン(Minahan,A.)によれば、人々が問題解決能力や対処能力を高め、より効果的に資源を活用できるよう援助すること。資源の存在や利用方法を知らない人、利用を躊躇する人々を資源に接続すること。人々と資源の相互作用強化・修正・新設により資源利用の妨げを除去すること。資源システム内の人々の相互作用強化・修正・新設。社会的諸施設の開発や修正。人々の生存に必要な金品給付。法規範からの逸脱者や、被害者の保護のための社会的統制機関機能等があるとされる。又、岡村重夫によると、問題や原因を明かす評価的機能。社会関係の矛盾に対する調整的機能。欠損した社会関係の回復や代替えを見出す送致的機能。解決できない場合の開発的機能。これら 4 点によって解決できない或いは解決に時間を要する場合に提供する保護的機能等があるとされる。

昨今、地域社会へ働きかける機能も増大していて、ティンバーレーク(Timberlake,E.M.)によれば、ソーシャルワークを人と環境への援助に分け、[人への直接援助]として、カウンセラー、イネーブラー、ブローカー、ケースマネージャー。[人への間接援助]として、弁護者、コンサルタント、チームメンバー、管理者。[環境への直接援助]として、コンサルタント、組織者、弁護者、ファシリテーター、媒介者、管理者。[環境への間接援助]として、調査者、分析者、計画者、プログラマー、財源獲得者等のように役割を整理したが、ソーシャルワーカーの役割としては関わるクライエントにより異なるため、その役割を、個人や家族に対するミクロソーシャルワーク、小集団・組織に対するメゾソーシャルワーク、地域社会に対するマクロソーシャルワークと、カーストアシュマン(Kirst-ashman.)、ハル(Hull.)らは分類した。ただし、ミクロ・メゾ・マクロの定義は諸説あり、地域社会はメゾに属し、マクロは制度政策・国家等だとも考えられる。

「個人が抱える困難」は、その家族の問題であったり、その家族の所属する地域であったり、それらの形成に影響を与える制度政策や国家であったり、或いは道路や建造物といった物理的なものであったりという「環境」、それらと困難を抱える「個人」の交互作用から発生するともいえる。このように一つの困難は、様々な方面・角度から及ぶ。それに対応するソーシャルワークが、ミクロ、メゾ、マクロの視点の重要性である。そしてまた、これらは個人に対する一時的なものではなく、様々な方面・角度から様々な対象への絶え間のない働き、それがソーシャルワーク実践における連続性である。

参考文献
ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について 社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員
会 平成 30 年
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/
0000199560.pdf

ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる実践能力 公益社団法人日本社会福祉士会 平成 29 年
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000158098.pdf

ソーシャルワークにおけるミクロからマクロへの連動性に関する原理の考察
https://www.jssw.jp/conf/69/pdf/A01-02.pdf 川崎医療福祉大学 直島克樹 出版年度不明

相談支援に必要な技術 社会福祉法人南陽園 能勢三寛 2020 年
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/fukusi/kensyu/documents/r2_soudansyonin_2day_2_1230_tech.pdf

メゾ・マクロ領域のソーシャルワーク実践に向けたスーパービジョンの課題に関する一考察 黒木邦弘 2014 年
https://kumagaku.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=345&file_id=22&file_no=1