障害者と人権と専門職!?

[ 設問 ]
精神障害者の地域移行支援(退院支援)について、「人権」「専門職」をキーワードにして、あなたなりに論じなさい。

福祉か!全滅か!
福祉か!全滅か!


[ 回答例 ]
 地域移行支援にあっては、当事者を単なる病者として見る医学モデルでなく、地域の不備による生活のしづらさを見る社会モデルの視点に立ち、当事者のリハビリだけでなく、当事者も地域も安心して暮らせるように、地域の啓発や資源との調整と資源開発にも努めねばならない。
 これらは、「たまたま」精神障害になった人も、極当然に人権を有しているという事に依拠した支援が必要だと考えるからだ。障害者権利条約 19 条には自立した生活及び地域社会への包容が謳われ、精神保健福祉法には障害者総合支援法と相まって精神障害者の社会復帰と自立と社会参画促進が謳われる。
 そして、そもそも人権は人間が生まれながらにして持っている基本的な権利であるのだから、障害者にもそれは当然該当する。従って、障害を理由にして、施設での暮らしで良しとしたり、地域での自立生活にあたって特別な努力を求めたりという差別は許されない。当事者の尊重をと言われるけれども、尊重するのではなく当然の人権を保証する責務を負うていると考えたい。
 専門職に求められる事は、この人権を常に意識し、当事者と地域の支援にあたらねばならない事だ。これは当事者の人権を優先し、地域に押し付ける事ではない。皆が等しく人権を享受できるよう調整(啓発・協力・調査)する事である。それに加え、教科書コラムにある通り、障害者の生活実態を踏まえ、既存の法を改善していく取組を思考する事も必要だと考える。