段差を超えられない車椅子

車椅子で自走する人、車椅子を押す人、街を往けば、段差に溝にマンホール。
もう少し前輪が大きれば乗り切れる、なぜ、こんなに小さい車輪が付いてるのだ。
そう思うわれたこと有りませんか。

歩行器と車椅子の前輪の大きさ比較
歩行器と車椅子の前輪の大きさ比較
実は、きちんとした理由が有ったのでした。これは、福祉用具取扱者からケアマネになった人でも、ボンヤリとしか把握してない貴重な発見なのです。

車輪は大きい方が安定性に優れるよう感じた事ありませんか。24インチと26インチの自転車を乗り比べれば明瞭です。より大きい方がデコボコを乗り越えるのに有利です。直進性も勝ります、乗り心地も快適。

そしてこれは裏を返せば、「反応が鈍い」とも表現できます。
という事は、自らが操縦する場合、思うように走行できない。

そんな訳で、歩行器の場合、敏感に前輪が反応すると却って危険になります。実際に利用している人はご存知ですが、車椅子を推すと不安定です。
つまり車椅子は、回頭性を上げて、より自由に動けるよう、敢えて小さい前輪を採用しているのだと気づきます。
非自走式と自走式車椅子を比較した場合、前後輪の比率が違う事も納得です。

実際には、ホイルベース、キャスター、トレッド、大きさ、重量、色々な要素が絡み、このような単純な話ではないでしゅう。けれども、前輪が小さいめである事は、より自由な移動を実現するための1要素だと考えられませんでしょうか。

歩行器と車椅子でこんなにも違う車輪の大きさ
歩行器と車椅子でこんなにも違う車輪の大きさ

そして、ここから先は、車椅子で自走する人、車椅子を押す人へ、社会に合わせるような努力を要求するのでなく、車椅子の自由を実現するために社会が努力しなかればならない、そう思う次第で御座います。